エスプレッソは苦くて濃いので、カフェインも多いと思われがちです。ところが1杯どうしで比べると、編集部で調べた公的機関・公式サイトの数字では、いずれもドリップコーヒーのほうが多くなっています。たとえばスターバックス ジャパンの公式の栄養成分では、エスプレッソ1ショット(ソロ)が80mg、トールサイズのホットのドリップ(ブリュード コーヒー)が276mgです(2026年10月時点)。
差が出る理由は、濃さと1杯の量の違いです。この記事ではエスプレッソに絞って、1ショットのカフェイン量、ダブルやラテ・アメリカーノにしたときの量、デカフェ(ディカフェ)エスプレッソに残る量と飲める店を、公的機関と公式サイトの数字で整理しました。コーヒー全般のカフェイン量は「コーヒーのカフェイン量は100mLで60mg」で詳しく扱っています。
- エスプレッソ1ショットのカフェイン量
- ドリップコーヒーとの濃度と1杯の量の違い
- ダブル・ラテ・アメリカーノのカフェイン量
- デカフェ(ディカフェ)エスプレッソに残るカフェイン
- デカフェエスプレッソを飲める店と追加料金
エスプレッソのカフェイン量は1ショット何mg?
この記事で確かめた公式・公的機関の数字では、エスプレッソ1杯のカフェインはおよそ63〜80mgです。ただし「1杯」の量が出典ごとに違うため、数字だけを並べても単純には比べられません。
公式・公的機関が示す1ショットのカフェイン
日本の食品の公的なデータである文部科学省の日本食品標準成分表(八訂)増補2023年には、コーヒーの浸出液やインスタントコーヒーの項目はありますが、エスプレッソの項目はありません。そこで、エスプレッソを個別に示している海外の公的機関と、国内チェーンの公式値を並べました。
| 出典 | 1杯の量の前提 | カフェイン |
|---|---|---|
| スターバックス ジャパン(エスプレッソ ソロ) | 1ショット(量の記載なし) | 80mg |
| 欧州食品安全機関(EFSA) | 60mL | 80mg |
| 米国農務省(USDA)FoodData Central | 1液量オンス(29.6g) | 約63mg(100gあたり212mg) |
スターバックスの値は、公式の栄養成分情報とエスプレッソの商品ページに載っているものです。EFSAは、国によって量も濃さも違うことを断ったうえで「エスプレッソ60mLで80mg」を目安として示しています。USDAは「レストランで淹れたエスプレッソ」のカフェインを100gあたり212mgとしていて、1液量オンス(29.6g)分に直すと約63mgです。
店や規格でちがう1ショットの量
数字に幅が出るいちばんの理由は、1杯の量が決まっていないことです。EFSAは60mL、USDAは1液量オンス(約30mL)を1杯の単位にしています。
家庭用のカプセルでも、ネスプレッソの公式サイトでは同じカプセルの推奨の杯量がリストレット25mL、エスプレッソ40mLと分けて示されています。豆の種類や粉の量、抽出の条件でも濃さは変わるため、正確に知りたいときは、店やメーカーが公表している1杯あたりの値を確かめてください。
エスプレッソとドリップ、カフェインが多いのはどっち?
濃さで比べればエスプレッソ、1杯で比べればドリップのほうが多くなります。出典をまたいで数字を比べると条件がずれるので、ここでは同じ出典の中どうしで比べました。
濃度で比べた場合
同じ重さ・同じ容量あたりで比べると、エスプレッソはドリップ(フィルター)コーヒーのおよそ3〜5倍の濃さです。
| 出典 | エスプレッソ | ドリップコーヒー | 濃さの差 |
|---|---|---|---|
| USDA(100gあたり) | 212mg | 40mg | 約5.3倍 |
| EFSA(100mLあたりに換算) | 約133mg | 45mg | 約3倍 |
USDAのドリップの値は「水道水で淹れたコーヒー」の項目です。日本では、厚生労働省がコーヒーの浸出液(粉10gに熱湯150mL)を100mLあたり60mgとしています。淹れる条件が違うため、海外のドリップの値とは一致しません。
1杯で比べた場合
1杯あたりで比べると、順番が逆になります。エスプレッソは1杯の量が少ないからです。
| 出典 | エスプレッソ1杯 | ドリップ1杯 |
|---|---|---|
| スターバックス ジャパン | 80mg(ソロ) | 276mg(ブリュード コーヒー、トール・ホット) |
| EFSA | 80mg(60mL) | 90mg(200mL) |
| USDA | 約63mg(29.6g) | 約95mg(237g=8液量オンス) |
スターバックスでは、トールのドリップ1杯(276mg)が、エスプレッソ3ショット分(239mg)を上回ります。「濃いからカフェインも多いはず」という感覚とは逆の結果です。


エスプレッソをダブル・ラテ・アメリカーノにしたときのカフェイン量
エスプレッソを使ったドリンクのカフェインは、何ショット入っているかでほぼ決まります。ミルクやお湯を足しても、カフェインの総量は増えも減りもしません。牛乳で割ってもカフェインが減らない理由は「コーヒーに牛乳を入れるとカフェインは減る?」で解説しています。
スターバックスのサイズ別の公式値
スターバックス ジャパンは、商品ページでサイズごとの栄養成分を公表しています。エスプレッソを使う定番の2品と、比べるためのドリップを並べました。
| ドリンク | ショート | トール | グランデ | ベンティ |
|---|---|---|---|---|
| スターバックス ラテ | 80mg | 80mg | 160mg | 239mg |
| カフェ アメリカーノ | 80mg | 160mg | 239mg | 319mg |
| ブリュード コーヒー(ホット) | 189mg | 276mg | 362mg | 464mg |
エスプレッソ単品は、ソロ(1ショット)が80mg、ドピオ(2ショット)が160mgです。スターバックス ラテはショートとトールが80mgで、ソロ1杯と同じです。カフェ アメリカーノはトールで160mgと、同じサイズのラテの2倍になります。
ミルクを豆乳やアーモンドミルクに替えても、ラテのカフェインは変わりません。公式の栄養成分一覧では、トールのスターバックス ラテは、ミルク・低脂肪タイプ・無脂肪乳・豆乳・アーモンドミルクのどれでも80mgです。
ショット追加をした場合の計算
ショットを追加したときは、追加した分を足し算します。スターバックス ジャパンの栄養成分一覧では、追加用のエスプレッソ ショットが1ショット80mg、2ショット160mg、3ショット239mgと示されています。トールのラテ(80mg)に1ショット追加すると、合計の目安は160mgです。
ショットの追加・増量は、公式のカスタマイズ案内で1ショットにつき+55円です(2026年10月時点)。
海外機関の目安との関係
日本では、カフェインの1日摂取許容量(ADI)は設定されていません(厚生労働省)。よく見る「1日400mg」はカナダ保健省が健康な成人向けに示した値で、日本の基準ではありません。
1回の量については、EFSAが、健康な成人なら1回200mgまでは安全性の懸念はないとしています(食品安全委員会のファクトシートでも紹介)。スターバックスの公式値では、グランデのアメリカーノ(239mg)やベンティのラテ(239mg)が、1杯でこの数字を超えます。
カフェインの感じ方には個人差が大きく、妊娠中・授乳中の方や持病のある方は医師に相談してください。1日の目安の整理は「コーヒーのカフェイン量は100mLで60mg|「1日400mg」は日本の基準ではない」にまとめています。
デカフェ(ディカフェ)エスプレッソとは?カフェインはゼロではない
デカフェエスプレッソは、カフェインを取り除いたコーヒー豆で淹れたエスプレッソです。カフェインは大きく減りますが、ゼロにはなりません。
デカフェ・ディカフェ・カフェインレスの関係
デカフェとディカフェは、英語の「decaf(decaffeinated)」のカタカナ表記の違いです。スターバックスは「ディカフェ」、タリーズは「デカフェ」と書いていますが、指しているものは同じです。スターバックスの商品ページでも「ディカフェ(カフェインレス)」と併記されています。
もともとカフェインを含まない飲み物を指す「ノンカフェイン」とは別物です。言葉の違いは「デカフェとは?カフェインレスコーヒーとノンカフェインとの違い」で整理しています。
日本の表示基準「90%以上除去」
日本では、全日本コーヒー公正取引協議会の「レギュラーコーヒー及びインスタントコーヒーの表示に関する公正競争規約」の施行規則が、カフェインを90%以上除去したコーヒーを「カフェインレスコーヒー」「デカフェネィテッドコーヒー」などと表示すると定めています。表示のうえでは、もとのカフェインの1割以下は残っている可能性があるということです。
デカフェエスプレッソ1ショットに残るカフェイン
1ショットにどれくらい残るかは、スターバックス ジャパンが公表しています。ディカフェ エスプレッソ ショットは1ショット7mgで、通常のエスプレッソ(80mg)の1割弱です。
| 量 | 通常のエスプレッソ | ディカフェ エスプレッソ |
|---|---|---|
| 1ショット | 80mg | 7mg |
| 2ショット | 160mg | 14mg |
| 3ショット | 239mg | 20mg |
| スターバックス ラテ(トール) | 80mg | 7mg |
USDAのデータでは、レストランで淹れたデカフェエスプレッソは100gあたり1mg(通常は212mg)と、さらに少ない値です。豆やカフェインの除去方法、抽出の条件で差が出るため、どの数字も「ゼロではない」という点だけが共通しています。


「99%除去」という表現の誤解
デカフェについて「カフェインを99%除去」と説明されることがありますが、日本の表示基準は90%以上除去です。
スターバックス ジャパンは2025年5月、それまで店頭などで示していた「カフェイン除去率99%以上」を訂正しました。英語の「99.9% Caffeine free」は除去率ではなく、除去後の豆に残るカフェインが重さの0.1%未満であることを示す表現で、実際の除去率は94〜97%程度と推定されると説明しています。現在は「カフェイン90%以上除去」と表示しています。
「99.9%カフェインフリー」と「99%除去」は、似た数字でも意味が違います。デカフェの説明で「99%」を見かけたら、除去率なのか、豆に残る割合なのかを確かめてください。
デカフェエスプレッソが飲める店と追加料金
編集部で公式サイトを確かめた範囲では、スターバックスとタリーズがエスプレッソのデカフェ(カフェインレス)への変更を案内しています。どちらも有料のカスタマイズで、注文のときに変更を伝えます。
| 店 | 公式の案内 | 追加料金(税込) | 注意点 |
|---|---|---|---|
| スターバックス | ディカフェへの変更(コーヒー・エスプレッソのみ) | +55円 | コールドブリューは対象外 |
| タリーズ | カフェインレスに変更 | +65円 | 「デカフェエスプレッソ」取り扱い店舗のみ |
スターバックスのディカフェ変更
スターバックスは、ビバレッジのカスタマイズでディカフェへの変更を+55円と案内しています。対象はコーヒーとエスプレッソのドリンクで、コールドブリューは対象外です。エスプレッソやスターバックス ラテ、カフェ アメリカーノの商品ページにも「ディカフェ(カフェインレス)でもご用意できます」と書かれています。
ディカフェに変更できるメニューの一覧は「スタバのカフェインレス(デカフェ)メニュー一覧」にまとめています。
なおスターバックスは、2026年7月中旬以降、ディカフェの豆のカフェイン除去方法を「水と二酸化炭素を使う方法」から「水を使う方法」へ順次切り替えています。公式の案内では、どちらも有機溶媒は使わず、除去率はこれまでと同じ90%以上除去の基準としています。
タリーズのカフェインレス変更
タリーズは、カスタマイズの「カフェインレスに変更」を+65円で案内しています。対応できるのは「デカフェエスプレッソ」を扱う店舗だけです。
公式の店舗検索で「デカフェ・エスプレッソ」の条件を付けると、全849店のうち647店が該当します(2026年10月6日時点)。出かける前に、行く店舗が含まれているかを確かめておくと確実です。
自宅で淹れる場合の選択肢
家で飲むなら、カフェインレスの表示がある豆をエスプレッソマシンやマキネッタで淹れる方法と、デカフェのカプセルを使う方法があります。
カプセル式では、ネスプレッソが公式オンラインストアでデカフェのカプセルを扱っています。たとえばオリジナル用の「リストレット デカフェ」は1カプセル113.4円です(2026年10月6日時点)。
エスプレッソのカフェインに関するよくある質問
エスプレッソとデカフェエスプレッソのカフェインについて、よく調べられている疑問に答えます。
エスプレッソはドリップコーヒーよりカフェインが多いですか?
濃さはエスプレッソのほうが上ですが、この記事で確かめた数字では、1杯で比べるといずれもドリップのほうが多くなっています。スターバックス ジャパンの公式値では、エスプレッソ1ショットが80mg、トールのドリップが276mgです。EFSAの目安でも、エスプレッソ60mLの80mgに対し、フィルターコーヒー200mLは90mgとされています。
エスプレッソは1日何杯までなら大丈夫ですか?
何杯までなら大丈夫と言える日本の基準はありません。よく見る「1日400mg」はカナダ保健省が健康な成人向けに示した値で、日本の基準ではありません。ほかの飲み物や食べ物のカフェインも合計に入り、感じ方にも個人差があるので、体調に不安があるときは医師に相談してください。
デカフェエスプレッソならカフェインはゼロですか?
ゼロではありません。スターバックス ジャパンの公式値では、ディカフェ エスプレッソは1ショット7mgです。カフェインをまったく摂りたくない場合は、もともとカフェインを含まないノンカフェインの飲み物を選ぶ必要があります。
ディカフェとデカフェは違うものですか?
同じものです。英語のdecafをどうカタカナにするかの違いで、スターバックスは「ディカフェ」、タリーズは「デカフェ」と表記しています。日本の表示基準では、カフェインを90%以上除去したコーヒーが「カフェインレスコーヒー」などと表示されます。










