コーヒーについて調べていると「SCAJ」という文字を見かけます。資格の説明に出てきたり、展示会の名前として出てきたりするため、結局それが何を指すのか分かりにくい 言葉でもあります。
本記事では、SCAJとは何か、何を定めている団体なのか、そしてコーヒーマイスターとの関係までを、協会の公式情報をもとに整理します 。
※情報は2026年8月時点で公式サイトを参照したものです。制度や日程は変更される場合があります。
この記事の結論
SCAJは「一般社団法人 日本スペシャルティコーヒー協会」の略称であり、同時にこの協会が毎年開く展示会の名称でもあります。 文脈によってどちらを指すかが変わるため、混乱しやすい言葉です。 コーヒーを学ぶ人にとって重要なのは、SCAJが「コーヒーマイスター」を認定している団体 だという点。日本初のコーヒー認定資格で、養成講座を修了して認定試験に合格すると取得できます。
SCAJ=協会 :一般社団法人 日本スペシャルティコーヒー協会(2003年設立)
SCAJ=展示会 :毎年開催。2024年の入場者は75,217名
認定資格 :コーヒーマイスター(日本初のコーヒー認定資格)
上位資格 :アドバンスド・コーヒーマイスター(2025年12月現在670名)
定めているもの :日本における「スペシャルティコーヒー」の定義と評価基準
目次
SCAJとは
SCAJは Specialty Coffee Association of Japan の頭文字で、正式名称は一般社団法人 日本スペシャルティコーヒー協会 です。
団体としてのSCAJ
設立は2003年 。前身は1987年に発足した「全日本グルメコーヒー協会」で、1999年に名称を変更したのち、2003年に新規設立という形をとっています。
公式サイトでは、活動の目的を次のように説明しています。「スペシャルティコーヒー」に対する認識を高め、栽培からカップまでの知識・技術の普及を図り、消費増大を目指すとともに、日本のコーヒー文化の醸成と世界のスペシャルティコーヒー運動への貢献を目的とする ——つまり、業界全体の底上げを担う立場にあります。
展示会としてのSCAJ
ややこしいのは、協会が毎年開催している展示会も「SCAJ」と呼ばれる 点です。「SCAJ2025」のように年号をつけて呼ばれます。
規模は大きく、2024年の実績として入場者75,217名 が報告されています。生産国のブースや器具メーカーの出展、競技会などが行われ、業界関係者だけでなく一般の来場者も参加できるイベントです。
そのため、検索で「SCAJ」と出てきたときは「協会の話か、展示会の話か」を最初に見分ける と読み違えずに済みます。
SCAJが定める「スペシャルティコーヒー」の定義
SCAJのもっとも重要な仕事のひとつが、日本における「スペシャルティコーヒー」の定義づけ です。公式サイトでは次のように示されています。
「消費者(コーヒーを飲む人)の手に持つカップの中のコーヒーの液体の風味が素晴らしい美味しさであり、消費者が美味しいと評価して満足するコーヒーであること」
注目したいのは、評価の主体が生産者でも業者でもなく「消費者」に置かれている ことです。等級や産地といった条件ではなく、飲んだ人が満足するかどうかを軸にしている点が特徴といえます。
「From seed to cup」という考え方
もうひとつの柱がFrom seed to cup(豆から杯まで) です。公式では「コーヒーの豆(種子)からカップまでの総ての段階において一貫した体制・工程・品質管理が徹底していることが必須である」 と説明されています。
栽培・収穫・精製・輸送・焙煎・抽出のどこか一箇所でも崩れれば、カップの中の品質は保てないという考え方です。
カップ・クォリティ判定の7項目
実際の評価は、次の7つの観点で行われます。
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評価項目 見ているもの きれいさ 風味の欠点がなく、テロワールが表現される透明性 甘さ 収穫時の熟度に関連する甘さの印象度 酸味特性 明るく爽やかな、質の良い酸味 口に含んだ質感 粘り気、密度、舌触りなどの触覚 風味特性 テロワールが正しく表現されているか 後味 飲み込んだ後、甘さの感覚で消えていく余韻 バランス 風味の調和と、調和の取れた全体像
「酸味がある=品質が高い」と単純化されがちですが、実際には酸味の“質”が問われている ことが分かります。この7項目は、自分でコーヒーを味わうときの物差しとしても使えます。
風味を言葉にする方法をもう少し知りたい方は、次の記事もどうぞ。
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SCAJが認定する「コーヒーマイスター」
当サイトの監修者も2026年8月にこの資格を取得しました。 以下は、養成講座と試験を通過した立場から確認した内容です。
資格を探している人にとって、SCAJがもっとも関係するのがここです。
公式サイトによると、コーヒーマイスターは「コーヒーに対するより深い知識と基本技術の習得をベースとして、お客様へ豊かなコーヒー生活が提案できるプロのコーヒーマン(サービスマン)」 であり、日本初の認定資格 と位置づけられています。
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項目 内容 主催 日本スペシャルティコーヒー協会(SCAJ) 取得の流れ 養成講座を修了 → 認定試験に合格 開催 年2回(春・秋) 上位資格 アドバンスド・コーヒーマイスター 有資格者数 のべ7,587名/アドバンスド・コーヒーマイスターは675名(いずれも2026年8月現在) 受講スタイル 専用テキストでの自宅学習+実技講習会(座学・カッピング/3時間)の受講1回 学習期間 約3ヵ月 認定試験 60分/100問(1問1点)/記述式/60点以上で合格 合格率 平均70%前後(第44期の案内より)
ポイントは「講座を受けること」が前提になっている 点です。試験だけを受けて取得する形ではないため、独学だけでは取れません。この点が、在宅で受験できる民間資格との大きな違いになります。
なお受講料や受講資格は、講座の回ごとに公式サイトで案内されます 。金額は時期によって変わる可能性があるため、検討する際は必ず公式の募集要項を確認してください。
難易度について、実際に受けた立場からひとつ補足します。当サイト監修者はコーヒーソムリエとコーヒーマイスターの両方を保有 していますが、マイスターのほうが圧倒的に難しく感じた とのことでした。出題は届いたテキストの範囲内に収まる一方、歴史の年表まで含めて広くまんべんなく問われるため、覚える量が多いからです。
合格率が平均70%前後ということは、10人に3人は落ちている ということでもあります。「講座を受ければ取れる資格」ではなく、「テキストを読み込めば取れる資格」 と捉えるのが正確です。実際の得点は81点でした(合格基準は60点)。
コーヒーマイスターそのものの難易度や学習内容は、次の記事で詳しく解説しています。
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他のコーヒー資格団体との違い
コーヒーの資格は複数の団体が認定しており、性格がかなり違います。代表的な3つを並べます。
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団体 主な資格 取得の形 SCAJ 日本スペシャルティコーヒー協会コーヒーマイスター/アドバンスド・コーヒーマイスター 養成講座+認定試験。講座受講が前提 J.C.Q.A. 全日本コーヒー検定委員会コーヒーインストラクター検定(3級・2級・1級)、コーヒー鑑定士 講習会+検定試験 JSFCA 日本安全食料料理協会コーヒーソムリエ 在宅受験。講座を受けずに受験できる
ざっくり言えば、SCAJとJ.C.Q.A.は業界寄り、JSFCAは趣味から入りやすい という違いがあります。「まず気軽に始めたい」のか「仕事に結びつけたい」のかで、選ぶ団体が変わります。
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一般の人がSCAJに関わるには
業界団体と聞くと縁遠く感じますが、関わり方はいくつかあります。
展示会に行く :毎年開催されるSCAJは一般の来場も可能。生産国のブースや競技会を体験できる
コーヒーマイスターを受ける :養成講座を受講し、認定試験に合格する
定義を物差しに使う :カップ・クォリティの7項目は、日々の一杯を味わうときの基準になる
資格の取得までは考えていなくても、「スペシャルティコーヒー」という言葉が何を意味するかを知っておく だけで、豆選びの見方が変わります。パッケージにこの表記があるとき、そこには一定の考え方が背景にある、ということです。
SCAJに関するよくある質問
SCAJとは何の略ですか?
Specialty Coffee Association of Japan の略で、正式名称は「一般社団法人 日本スペシャルティコーヒー協会」です。2003年に設立され、前身は1987年発足の「全日本グルメコーヒー協会」にさかのぼります。同時に、この協会が毎年開催する展示会の名称でもあります。
SCAJは協会と展示会のどちらを指しますか?
どちらの意味でも使われます。「SCAJが認定する資格」といえば協会、「SCAJ2025に行く」といえば展示会を指します。文脈で判断してください。展示会は年号をつけて呼ばれることが多いのが見分け方のひとつです。
SCAJのスペシャルティコーヒーの定義は?
公式には「消費者(コーヒーを飲む人)の手に持つカップの中のコーヒーの液体の風味が素晴らしい美味しさであり、消費者が美味しいと評価して満足するコーヒーであること」と定められています。評価の主体が生産者ではなく消費者に置かれている点が特徴です。加えて、豆からカップまで一貫した品質管理を求める「From seed to cup」の考え方が柱になっています。
コーヒーマイスターはSCAJの資格ですか?
はい。日本スペシャルティコーヒー協会(SCAJ)が主催する認定資格で、日本初のコーヒー認定資格と位置づけられています。養成講座を修了し、認定試験に合格すると認定されます。講座は年2回(春・秋)開催されます。
コーヒーマイスターは独学で取れますか?
独学だけでは取得できません。養成講座の修了が認定試験の前提になっているためです。試験だけを受けて取る形ではない点が、在宅受験できる民間資格との大きな違いです。独学で取れる資格を探している場合は、JSFCAのコーヒーソムリエなどが選択肢になります。
アドバンスド・コーヒーマイスターとは何ですか?
コーヒーマイスターの上位にあたる資格です。公式サイトによると、2025年12月現在で670名が認定されています。コーヒーマイスターの有資格者が2018年時点で5千名を超えていることを踏まえると、そこからさらに絞られた人数であることが分かります。
SCAJの展示会は一般の人も入れますか?
一般の来場も可能です。2024年は入場者75,217名という実績が報告されています。生産国のブース、器具メーカーの出展、競技会などが行われます。開催日程や入場方法は年によって変わるため、公式サイトで確認してください。
コーヒーマイスターの受講料はいくらですか?
受講料は講座の回ごとに公式サイトで案内されます。時期によって変わる可能性があるため、本記事では具体的な金額を記載していません。検討する際は、協会が公開している最新の募集要項を必ず確認してください。
まとめ:SCAJは「定義する側」の団体
SCAJ=一般社団法人 日本スペシャルティコーヒー協会 (2003年設立)
同名の展示会 も毎年開催(2024年は入場者75,217名)
日本におけるスペシャルティコーヒーの定義と評価基準 を定めている
コーヒーマイスター を認定。日本初のコーヒー認定資格
取得には養成講座の受講が前提 。独学だけでは取れない
SCAJを知っておくと、「スペシャルティコーヒー」という表記の意味も、コーヒー資格の全体像も見通しやすくなります。資格選びで迷っている方は、次の記事で各資格を比較しています。
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参考にした情報
一般社団法人 日本スペシャルティコーヒー協会「概要 」(正式名称・設立・目的・展示会実績)
同「スペシャルティコーヒーの定義 」(定義・From seed to cup・カップクォリティ判定7項目)
同「コーヒーマイスターとは 」(資格の位置づけ・養成講座・アドバンスド認定者数)