バリ島で立ち寄った施設でコーヒーを注文したら、木のトレーに14杯が並んで出てきました。コーヒーが9種類、ハーブティーが5種類。1杯ずつ番号のラベルが貼られていて、端から順に飲んでいく形式です。
これだけの数を並べて飲むと、「産地が違う」と「味つけが違う」がまったく別のものだとはっきりわかります。この記事では、実際に飲み比べて見えたことと、それを家で再現する方法をまとめます。写真は当サイト編集長の田中が現地で撮影したものです。
この記事でわかること
- バリ島の飲み比べセットの中身(14杯の内訳)
- 産地違いとフレーバーコーヒーの、はっきりした差
- インドネシアのコーヒーがロブスタ中心である理由
- 現地式の飲み方(粉を沈めて上澄みを飲む)
- 家で飲み比べをやるときの、失敗しない条件
目次
訪れた施設で出てきたのは、14杯だった
出てきたトレーの内訳は、次のとおりでした。
バリ島で出てきた飲み比べセット。番号ラベルの付いたグラスが14杯並ぶ(撮影:当サイト編集長 田中)
| 区分 | 杯数 | 中身 |
|---|
| 産地違いのコーヒー | 4 | アチェ、キンタマーニ(アラビカ/ロブスタ)ほか |
| フレーバーコーヒー | 5 | ココナッツ、バニラ、チョコレート、ジンセン、アボカド |
| ハーブティー | 5 | レモングラス系、ロゼラ系など色の異なるもの |
ラベルには「01」「02」と番号が振られ、それぞれに産地名や味の名前が書かれています。量は1杯あたり数口ぶんで、14杯あっても飲みきれる分量でした。
ただし先に断っておくと、これはバリ島のどこでも出てくるものではありません。この形式は訪れた施設(と、その系列)に特有のもののようで、島内の一般的なカフェで注文しても同じセットが出てくるわけではない点は、誤解のないようにしておきます。
この構成には意味があります。コーヒーだけでなくハーブティーが混ざっているのは、リセット役として機能するからです。濃いコーヒーを続けて飲むと舌が慣れて差がわからなくなりますが、間に酸味のあるお茶を挟むと感覚が戻ります。
産地違いの4杯で、いちばんはっきり出た差
並んだ産地は、スマトラ島のアチェと、バリ島のキンタマーニ。キンタマーニはアラビカ種とロブスタ種の両方が用意されていました。
結論から言うと、産地の差より「アラビカかロブスタか」の差のほうが、素人にもはっきりわかりました。同じキンタマーニでも、この2杯は別物と言っていいほど違います。ロブスタは苦味が前に出て重く、アラビカは軽くて酸味が感じられる。産地名を当てるのは難しくても、この2つを見分けるのは難しくありません。
これはインドネシアという産地の性格をよく表しています。インドネシアの生産量は、その多くをロブスタ種が占めるとされます(一般に9割前後という数字が挙げられます)。19世紀後半にサビ病が広がってアラビカ種が大きな打撃を受け、病害に強いロブスタ種への植え替えが進んだ歴史があるためです。
そのなかでキンタマーニは、バリ島北部の高地でアラビカ種を育てている産地です。火山性の土壌と、昼夜の寒暖差がある標高帯という条件が揃っています。「インドネシア=重いコーヒー」という印象を持っている人ほど、キンタマーニのアラビカを飲むと意外に感じるはずです。
あわせて読みたい
マンデリンコーヒーとは?味の特徴とスマトラ式・飲み方を解説
マンデリンコーヒーとは何か、重厚なコクと低い酸味の特徴、独特の風味を生むスマトラ式精製、おいしい飲み方までコーヒーソムリエが解説。酸味が苦手な方にも向く銘柄です。
フレーバーコーヒー5種は、比較の対象にならない
ココナッツ、バニラ、チョコレート、ジンセン(高麗人参)、アボカド。この5杯は見た目からして違い、ミルクが入って白っぽくなっているものが並びます。
正直に書くと、これらは「コーヒーの飲み比べ」としては機能しません。味つけが強いので、豆の違いはその下に隠れてしまいます。産地を知るために飲むなら、フレーバーの杯は数に入れないほうがいいでしょう。
ただ、別の楽しみ方はできます。その土地で何が採れるかが、そのままフレーバーになっているのが面白いところです。ココナッツもアボカドも、現地で身近な作物です。日本の土産物店では見かけない組み合わせなので、話のタネとしては十分に価値があります。
そしてこれは、観光客向けの演出ではありません。現地のスーパーマーケットでも、バニラコーヒーやチョコレートコーヒーが普通に棚に並んでいました。つまりフレーバーコーヒーは、バリでは日常的に飲まれている定番の選択肢だということです。飲み比べセットにフレーバーが5杯も入っていたのは、その土地の飲み方を反映した構成だったわけです。
お土産に選ぶなら、この点を踏まえて分けるのが実用的です。自分で豆の違いを楽しみたいなら産地名の入ったもの、人に配るならフレーバー系。後者は「バリらしさ」がわかりやすく、コーヒーに詳しくない相手にも喜ばれます。
バリでのコーヒーの飲み方|かき混ぜずに上澄みを飲む
現地でコーヒーを頼むと、カップの底に粉が沈んでいることがあります。これは淹れ方の違いによるものです。
インドネシアにはコピ・トゥブルック(Kopi Tubruk)という飲み方があります。細かく挽いた粉に直接お湯を注ぎ、粉が沈むのを待って上澄みを飲むというもの。「トゥブルック」はジャワ語で「ぶつかる」を意味し、湯と粉がぶつかる様子を表した名前とされています。砂糖を一緒に入れることも多い飲み方です。
知らずに飲むと「粉が入っていて失敗している」と思ってしまいますが、そうではありません。コツは、飲む前にかき混ぜないこと、そして最後まで飲みきらないこと。底の数ミリを残すつもりで口をつけると、粉を噛まずに済みます。少し待って粉が落ち着いてから飲み始めるのも有効です。
一方で、観光客向けの施設ではサイフォンなど別の器具で淹れてくれる場合もあります。下の写真はそのサイフォンです。
観光客向けの施設ではサイフォンで淹れてくれることもある(撮影:当サイト編集長 田中)
つまり「バリのコーヒーはこう飲む」と一つに決まっているわけではなく、出てきたカップの底を見て判断するのが確実です。粉が見えたら、かき混ぜずに待つ。それだけ覚えておけば困りません。
現地なら、スーパーで買って自分で飲み比べられる
施設のセットは特別なものですが、飲み比べ自体は自分でも用意できます。バリ島のスーパーマーケットには、産地違いの豆に加えて、バニラ・チョコレートなどのフレーバーコーヒーが普通に並んでいるからです。
滞在先がヴィラやコンドミニアムで、湯が沸かせる環境なら、数種類を買って持ち帰り、部屋で並べて飲むのが手軽です。観光施設に足を運ばなくても、産地とフレーバーの違いは十分わかります。値段も土産物店より抑えられるので、気に入ったものだけを改めてお土産用に買い足す、という順番にもできます。
選ぶときは、産地名が書かれたものを2つ、フレーバーものを1つくらいの比率にすると、違いが見えやすくなります。フレーバーばかりだと、後述のとおり豆の差が隠れてしまうためです。
家で飲み比べを再現するときの条件
14杯を一度に並べるのは施設だからできることで、自分でやるなら数を絞ったほうがうまくいきます。実際に飲み比べてみて、押さえるべきだと感じた点は4つです。
- 3種類までにする。それ以上は舌が追いつかず、後半の記憶が曖昧になります
- 淹れ方・湯温・粉の量をそろえる。ここが違うと、豆の差なのか淹れ方の差なのか判別できません
- 浅煎りから順に飲む。深煎りを先に飲むと、後の軽い味がわからなくなります
- 間に水か薄いお茶を挟む。現地のセットにハーブティーが入っていたのと同じ理由です
最初の1回は、あえて違いの大きい組み合わせにすると成功しやすくなります。たとえばアラビカとロブスタ、あるいは浅煎りと深煎り。似たもの同士から始めると「違いがわからない」で終わってしまい、そこで興味が切れがちです。
あわせて読みたい
コーヒー豆の種類を紹介!産地や焙煎度合い、淹れ方についても解説
コーヒー豆には、その産地や種類などによって多彩な味わいが楽しめます。 知識を深めることで、新たな味わいや楽しみ方を発見できるでしょう。本記事では、コーヒー豆の...
よくある質問
- バリ島のコーヒーはどんな味ですか?
-
一括りにはできません。同じバリ島のキンタマーニでも、アラビカ種は軽く酸味があり、ロブスタ種は苦味が強く重い味です。インドネシア全体ではロブスタ種の比率が高いため「重くて苦い」という印象を持たれがちですが、高地で育つアラビカ種はその印象とかなり異なります。
- カップの底に粉が沈んでいるのは失敗ですか?
-
失敗ではありません。インドネシアには、細かい粉に直接湯を注いで沈むのを待つ「コピ・トゥブルック」という飲み方があります。かき混ぜず、粉が落ち着いてから上澄みを飲むのが作法です。底の数ミリは残すつもりで飲むと、粉を噛まずに済みます。
- 飲み比べセットは何杯くらい出てきますか?
-
訪れた施設では、コーヒー9種とハーブティー5種の計14杯でした。ただしこれはバリ島の標準ではありません。この形式はその施設や系列に特有のもののようで、島内のカフェで頼んでも同じものは出てきません。自分で試すなら、スーパーで数種類買って滞在先で飲み比べるほうが確実です。
- お土産にはどのコーヒーを選べばよいですか?
-
目的で分けるのが実用的です。自分で豆の違いを楽しみたいなら、キンタマーニなど産地名が明記されたものを選びます。人に配るなら、ココナッツやバニラなどのフレーバーコーヒーのほうが土地らしさが伝わり、コーヒーに詳しくない相手にも喜ばれます。
- 初心者でも産地の違いはわかりますか?
-
産地名を当てるのは難しいですが、アラビカ種とロブスタ種の違いなら、飲み比べればほとんどの人がわかります。最初は違いの大きい組み合わせから始めるのがコツです。似た豆同士だと差を感じられず、そこで興味が続かなくなります。
まとめ
14杯を並べて飲んで、いちばん収穫だったのは「アラビカとロブスタは、初心者でも違いがわかる」という手応えでした。産地名を覚えるより先に、この2つの差を体で知るほうが実用的です。
そしてもう一つ、フレーバーコーヒーは比較の道具にならないということ。おいしくないという意味ではなく、目的が違うだけです。豆を知りたいときと、その土地を味わいたいときで、選ぶものを分ければいい。
家でやるなら3種類まで、条件をそろえて、浅いものから。それだけで、飲み比べは十分に成立します。旅先で14杯を飲まなくても、同じことは確かめられます。
あわせて読みたい
コーヒー資格おすすめ10選!初心者からプロまで目的別に紹介
この記事の結論 コーヒー資格は「①在宅・独学で取れる入門資格」「②講習で学ぶプロ向け資格」「③国際基準の技能資格」の3タイプに分かれます。迷ったら、まず在宅で取れ...