コーヒー1杯にカフェインはどれくらい入っているのか。厚生労働省が示している数値では、コーヒーの浸出液は100mLあたり60mgです。マグカップ1杯を200mLとすれば、およそ120mgという計算になります。
そしてもう一つ、多くの記事が取り違えている点があります。日本には、カフェインの一日摂取許容量(ADI)が設定されていません。よく見かける「1日400mgまで」という数字は、日本の基準ではなくカナダ保健省が示した値です。ここを正確に押さえておくと、情報の受け取り方が変わります。
先に結論
- コーヒー(浸出液)は100mLあたり60mg。マグ1杯200mLで約120mg(厚生労働省)
- インスタントコーヒーは1杯80mg(厚生労働省)
- 日本にADI(一日摂取許容量)はない。「400mg」はカナダ保健省、「妊婦200mg」は英国食品基準庁の値
- デカフェはゼロではない。90%以上を取り除いたもので、微量は残る
- 感じ方には個人差が大きい。体調や体質に不安があれば医師に相談を
目次
コーヒー1杯のカフェイン量は、量で決まる
厚生労働省の資料が示しているのは、「コーヒー(浸出液)100mLあたり60mg」という濃度です。1杯あたりで語られることが多いのですが、実際は飲む量で決まります。
| 飲む量 | カフェイン量の目安 | イメージ |
|---|
| 100mL | 60mg | 小さめのカップ1杯 |
| 150mL | 約90mg | 一般的なコーヒーカップ |
| 200mL | 約120mg | マグカップ1杯 |
| 350mL | 約210mg | カフェのトールサイズ相当 |
| 500mL | 約300mg | ペットボトル1本 |
厚生労働省が示す「100mLあたり60mg」から算出した目安。実際の濃度は豆の量や抽出方法で変わります。
ここでわかるのは、「コーヒー何杯まで」という数え方があまり意味を持たないということです。同じ1杯でも、小さなカップとタンブラーでは3倍以上違います。気にするなら、杯数ではなくmLで考えるほうが正確です。
なおインスタントコーヒーは、厚生労働省の資料で「1杯80mg」と示されています。粉の量で調整できるぶん幅がありますが、レギュラーコーヒーと大きく変わらないと考えてよいでしょう。
「1日400mgまで」は日本の基準ではない
ここが、この記事でもっとも伝えたい点です。
内閣府食品安全委員会の資料には、「カフェインの一日摂取許容量(ADI)は設定されていません」と明記されています。感受性の個人差が大きいためです。
では、よく見る「400mg」は何なのか。これは海外の機関が示した目安を、厚生労働省が紹介しているものです。日本が定めた基準ではありません。「厚労省が400mgと定めている」と書いている記事は、この点を取り違えています。
| 対象 | 1日の目安 | 示した機関 |
|---|
| 健康な成人 | 400mg | カナダ保健省(2010年) |
| 妊婦 | 200mg | 英国食品基準庁(2008年) |
| 妊婦・授乳中・妊娠を計画中 | 300mg | カナダ保健省(2010年) |
| 子ども 4〜6歳 | 45mg | カナダ保健省(2010年) |
| 子ども 7〜9歳 | 62.5mg | カナダ保健省(2010年) |
| 子ども 10〜12歳 | 85mg | カナダ保健省(2010年) |
いずれも日本の基準ではなく、海外機関が示した値です。子ども・青少年の値は体重あたり2.5mgを基準に標準体重から算出されたものとされています。
厚生労働省の資料では、成人の400mgは「コーヒーをマグカップで約3杯」、妊婦の200mgは「コーヒーをマグカップで2杯程度」と補足されています。
また欧州食品安全機関(EFSA)は、健康な成人について1回あたり200mg程度であれば急性毒性の懸念はないとしています。1日の合計だけでなく、一度にどれだけ飲むかという見方もあるわけです。
紅茶・緑茶・エナジードリンクと比べるとどうか
厚生労働省の資料には、コーヒー以外の飲み物の数値も示されています。
| 飲み物 | カフェイン量 |
|---|
| コーヒー(浸出液) | 60mg/100mL |
| インスタントコーヒー | 80mg/1杯 |
| 紅茶(浸出液) | 30mg/100mL |
| せん茶(浸出液) | 20mg/100mL |
| ほうじ茶(浸出液) | 20mg/100mL |
厚生労働省「食品に含まれるカフェインの過剰摂取についてQ&A」より。
紅茶はコーヒーの半分、せん茶とほうじ茶は3分の1ほどです。同じ資料では世界保健機関(WHO)の資料を引いて、「紅茶、ココア、コーラ飲料はほぼ同程度のカフェインを含み、コーヒーにはこれらの約2倍が含まれている」とも紹介されています。
エナジードリンクについては、製品ごとに含有量が大きく異なります。缶や容器の表示を確認するのが確実で、まとめて語れるものではありません。
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デカフェのカフェインはゼロではない
カフェインを減らしたいときに選ばれるデカフェですが、ゼロになるわけではありません。
言葉の整理をしておきます。
- デカフェ/カフェインレス:コーヒーからカフェインを90%以上取り除いたもの。微量は残る
- ノンカフェイン:もともとカフェインを含まない飲み物(麦茶、ルイボスティーなど)。これだけが別物
つまり完全に避けたいのであれば、デカフェではなくノンカフェインの飲み物を選ぶ必要があります。デカフェは「大きく減らしたいが、コーヒーの味は楽しみたい」ときの選択肢です。
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飲みすぎたときに出るとされる症状
厚生労働省は、カフェインの過剰摂取によって起こりうるものとしてめまい、心拍数の増加、興奮、不安、震え、不眠症、下痢、吐き気などを挙げています。
ただし、どのくらいの量でどう出るかには個人差が大きいとされています。同じ量でもまったく平気な人と、動悸が出る人がいます。目安の数値はあくまで一般的な参考であり、自分の体感のほうが確かな指標になる場面もあります。
体調に不安がある場合、妊娠中・授乳中の場合、持病や服用中の薬がある場合は、自己判断せず医師に相談してください。
量を減らしたいときの、現実的な調整のしかた
数値がわかったところで、実際にどう調整するか。難しいことをする必要はありません。
- 杯数ではなくサイズを見直す。マグをやめて小さめのカップにするだけで、1杯あたりが半分近くになる
- 時間帯で切り替える。午前はレギュラー、午後からはデカフェ、という分け方が続けやすい
- 1回にまとめて飲まない。EFSAが1回200mgという見方を示しているとおり、一度の量も考え方の一つ
- ミルクを入れても総量は変わらない。薄まるのは濃度だけで、カフェインの量そのものは減らない
最後の点は誤解が多いところです。カフェオレにしてもカフェインの総量は変わりません。減らしたいなら、豆の量を減らすか、デカフェに替えるか、飲む量そのものを減らすかのいずれかです。
よくある質問
- コーヒー1杯のカフェイン量は何mgですか?
-
厚生労働省が示す数値では、コーヒーの浸出液は100mLあたり60mgです。一般的なコーヒーカップ(150mL)なら約90mg、マグカップ(200mL)なら約120mgが目安になります。「1杯」の量は器によって大きく変わるため、mLで考えるほうが正確です。なお実際の濃度は、豆の量や抽出方法によっても変わります。
- 1日何mgまでなら大丈夫ですか?
-
日本にはカフェインの一日摂取許容量(ADI)が設定されていません。よく引用される「健康な成人で400mg」はカナダ保健省が2010年に示した値、「妊婦で200mg」は英国食品基準庁が2008年に示した値です。いずれも海外機関の目安であり、日本の基準ではない点に注意してください。感受性には個人差があるため、体調に不安がある場合は医師にご相談ください。
- 紅茶や緑茶よりコーヒーのほうが多いですか?
-
コーヒー(60mg/100mL)に対し、紅茶は30mg/100mL、せん茶とほうじ茶は20mg/100mLです。同じ資料では「紅茶、ココア、コーラ飲料はほぼ同程度で、コーヒーにはその約2倍が含まれている」というWHOの記述も紹介されています。数値はいずれも厚生労働省の資料によるものです。
- デカフェならカフェインはゼロですか?
-
ゼロではありません。デカフェ(カフェインレス)は、コーヒーからカフェインを90%以上取り除いたもので、微量は残ります。まったく含まないのは、麦茶やルイボスティーのように、もともとカフェインを含まない「ノンカフェイン」の飲み物です。完全に避けたい場合は後者を選ぶ必要があります。
- ミルクを入れればカフェインは減りますか?
-
減りません。ミルクを加えると濃度は下がりますが、カフェインの総量は変わらないためです。使ったコーヒーの量が同じであれば、ブラックでもカフェオレでも摂取するカフェインは同じです。量を減らしたい場合は、豆の量を減らす、デカフェに替える、飲む量そのものを減らす、といった方法になります。
まとめ
コーヒーのカフェイン量は100mLあたり60mg。杯数ではなくmLで考えると、自分がどれだけ摂っているかが正確につかめます。
そして押さえておきたいのが、「1日400mgまで」は日本が定めた基準ではないということ。海外機関が示した目安を、厚生労働省が紹介しているにすぎません。日本にADIは設定されておらず、その理由は個人差が大きいからだとされています。
数値は判断の材料であって、答えそのものではありません。目安を知ったうえで、自分の体調と相談しながら量を決める——それがいちばん現実的な付き合い方です。
出典・参考資料
※本記事の数値は2026年8月時点で上記資料を参照したものです。カフェインの感じ方には個人差があります。健康上の判断が必要な場合は、医師など専門家にご相談ください。
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