コーヒーを学びはじめると必ず出てくる言葉が「カッピング」です。プロが行う難しい審査、というイメージがあるかもしれませんが、実は道具さえあれば自宅でもできます。
この記事では、カッピングとは何か、なぜドリップではなくこの方法を使うのか、自宅でのやり方と評価のコツまで、コーヒーソムリエの視点で解説します。味の違いを「言葉にできる」ようになる、いちばんの近道です。
※情報は2026年7月時点のものです。
この記事の結論
カッピングとは、コーヒーの香りと味を評価するための標準化された試飲方法です。粉に湯を注いで数分置き、浮いた粉をかき混ぜてからスプーンですすって味をみます。器具の違いによる誤差を消して豆そのものを比べられるのが目的で、ドリップではなくこの方法を使う理由もそこにあります。スプーンとカップがあれば自宅でもできます。
- 目的:器具の差を排除して、豆そのものを同条件で比べる
- やり方:粉に湯→数分待つ→アクを取る→すすって評価(4段階)
- 必要なもの:カップ・スプーン・湯(専用器具は不要)
- 効果:味の違いを「言葉にできる」ようになる
目次
カッピングとは?
カッピングとは、コーヒーの香りと味を評価するための、標準化された試飲方法です。粉に湯を注いで数分置き、浮いた粉をかき混ぜてからスプーンですすって味をみます。
生産者・輸入業者・焙煎士・バイヤーが世界共通で使う手法で、豆の品質を判定したり、焙煎の出来を確認したりする場面で行われます。スペシャルティコーヒーの「80点以上」という評価も、このカッピングで付けられたスコアです。
なぜドリップではなくカッピングなのか
「味をみるならドリップでいいのでは」と思うかもしれません。しかしハンドドリップは、湯の注ぎ方ひとつで味が変わってしまいます。淹れ手の腕が結果に混ざるのです。
スクロールできます
| 項目 | カッピング | ハンドドリップ |
|---|
| 目的 | 豆を評価する | おいしく淹れる |
| 手技の影響 | ほぼ受けない | 大きく受ける |
| 同時比較 | 何種類でも可能 | 手間がかかる |
| 再現性 | 誰がやっても同じ | 人により変わる |
カッピングは「粉に湯を注いで待つ」だけなので、誰がやってもほぼ同じ抽出になります。だからこそ豆そのものの個性を、公平に比べられるのです。
あわせて読みたい
シングルオリジンとブレンドの違いとは?味・選び方をやさしく解説
シングルオリジンとブレンドの違いを、味わい・価格・楽しみ方から解説。似た言葉「ストレート」との違いや、初心者はどちらを選ぶべきかもコーヒーソムリエが紹介します。
自宅で用意するもの
専用の器具がなくても始められます。最低限そろえたいのは次のものです。
- 同じ形・同じ大きさのカップ(湯呑みやグラスでも可。比べる豆の数だけ)
- スプーン(丸くて浅いものが理想。カレースプーンでも代用可)
- はかりとタイマー(条件をそろえるために必須)
- ミルとお湯(湯は93℃前後。沸騰後30秒ほど置いた温度)
粉はやや粗めに挽きます。分量の目安は湯150〜180mlに対して粉10〜12g。挽き目の考え方は次の記事も参考にしてください。
あわせて読みたい
コーヒーの挽き方の違いとは?粗挽き・中挽き・細挽きと器具別の選び方
コーヒーの挽き方(挽き目)による味の違いと、抽出器具に合わせた選び方を解説。粗挽き・中挽き・細挽きの特徴、5段階の目安、ミルがないときの対処までコーヒーソムリエが紹介します。
カッピングの手順は4段階
手順は世界共通で、大きく4つに分かれています。順番に香りと味を確かめていくのがポイントです。
- ドライ:湯を注ぐ前に、挽いた粉の香りをかぐ
- クラスト:湯を注いで4分待ち、表面に浮いた粉の層の香りをかぐ
- ブレイク:スプーンで層を3回押し崩し、立ちのぼる香りをかぐ
- テイスティング:浮いた泡と粉を取り除き、少し冷めてからすする
最大の山場はブレイクです。層を崩した瞬間、閉じ込められていた香りが一気に立ちのぼります。この一瞬にその豆のすべてが表れると言われるほどで、顔を近づけて逃さず捉えてください。
テイスティングでは、スプーンで勢いよくすするのがコツ。コーヒーを霧状にして口内に広げることで、香りと味を同時に感じ取れます。熱いうちだけでなく、冷めていく過程も必ず確かめましょう。
何を評価すればいい?
初心者がいきなり点数をつける必要はありません。まずは次の4点を、言葉にしてみることから始めます。
スクロールできます
| 評価項目 | 見るところ |
|---|
| フレーバー | 何の香りに似ているか(果物・花・ナッツなど) |
| 酸味 | 明るいか、重いか。心地よいか |
| ボディ | 口当たりの重さ・厚み |
| 後味 | 余韻の長さと、消え方の印象 |
コーヒーソムリエとして実感するのは、2種類以上を並べて比べると一気にわかるようになるということ。1つだけでは「おいしい」で終わってしまう感想が、隣に別の豆があるだけで「こちらのほうが酸が明るい」と具体化します。酸味の捉え方は次の記事でも解説しています。
あわせて読みたい
コーヒーが酸っぱい原因は?酸味を抑える方法と、酸味が少ない豆の選び方
コーヒーが酸っぱくなる原因と、酸味を抑える方法をコーヒーソムリエが解説。焙煎度・抽出・豆の劣化という3つの原因と、今日からできる5つの対策、良い酸味の楽しみ方までわかります。
カッピングに関するよくある質問
- カッピングとは何ですか?
-
コーヒーの香りと味を評価するための標準化された試飲方法です。粉に湯を注いで4分置き、浮いた層を崩して香りをかぎ、スプーンですすって味をみます。世界共通の手法で、豆の品質判定に使われます。
- 自宅でもカッピングはできますか?
-
できます。同じ形のカップ、スプーン、はかり、タイマー、ミルがあれば十分です。専用器具は必須ではなく、湯呑みやカレースプーンでも代用できます。
- なぜハンドドリップではだめなのですか?
-
ハンドドリップは注ぎ方で味が変わるため、淹れ手の腕が結果に影響してしまいます。カッピングは湯を注いで待つだけなので誰がやってもほぼ同じ抽出になり、豆そのものを公平に比べられます。
- 初心者は何から評価すればいいですか?
-
フレーバー・酸味・ボディ・後味の4点を言葉にすることから始めましょう。点数をつける必要はありません。2種類以上を並べて比べると、違いがはるかにわかりやすくなります。
評価に使う香味の言葉は、フレーバーホイールの記事で整理しています。
あわせて読みたい
コーヒーのフレーバーホイールとは?味の表現が広がる使い方
フレーバーホイールとは何か、内側から外側へたどる読み方、3ステップの使い方、フレーバーが決まる要因と上達のコツを解説します。
酸味を「良い酸味」と「劣化した酸味」に切り分ける視点も役立ちます。
あわせて読みたい
コーヒーが酸っぱい原因は?酸味を抑える方法と、酸味が少ない豆の選び方
コーヒーが酸っぱくなる原因と、酸味を抑える方法をコーヒーソムリエが解説。焙煎度・抽出・豆の劣化という3つの原因と、今日からできる5つの対策、良い酸味の楽しみ方までわかります。
まとめ:味を「言葉にする」練習になる
- カッピングは世界共通の標準化された試飲方法
- 手技の影響を受けないため、豆そのものを公平に比べられる
- 手順はドライ→クラスト→ブレイク→テイスティングの4段階
- まずは2種類を並べて比べるところから始めるのが上達の近道
カッピングは、味覚の才能ではなく経験で伸びるスキルです。まずは手持ちの豆2種類から、気軽に試してみてください。